樋田は岩波書店から『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』を出している。未解決の赤報隊事件で、右翼とは別に、旧統一教会が関与したのではないかという疑惑を丹念な取材で掘り起こしていた。その縁で、大江と知り合ったのだろうか。
大江は、教団の責任役員に名を連ねたこともある古参信者だ。
安倍晋三元総理を襲撃した山上徹也については、
「犯行の背景に統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)への恨みがあるという話が流れたとき、私は『教団に天罰が下った』と感じました」
さらに、「今こそ統一教会は、霊感商法、高額献金など、日本社会に対してこれまで犯してきた罪を反省し、謝罪しなければなりません」ともいう。
「我々が自民党を応援したのは、憲法改正のためです」
それは、教団の目的は憲法を改正して、そこに「国を愛する義務」という条文を入れることだからだ。
「ところが自民党は、自主憲法制定を党是に掲げながら、やる意欲を見せなかった。自分が当選すればどうでもよくて、国を愛するという考えなどないんです。唯一、安倍晋三さんだけが真剣に憲法改正をやろうとした。だから我々も本気で応援したのです」(大江)
ところが安倍が亡くなると、
「私たちは、あれだけ多くの自民党議員の選挙を手伝うなど面倒をみたのに、安倍元総理の事件を境に教団への批判が高まると、自民党は一斉に手の平を返し、知らぬ存ぜぬ。そればかりか世論に飲み込まれて、宗教法人の解散命令を請求するに至りました。自分たちだけ、逃げ切ろうとしている」
と大江は怒りを隠さない。
また新潮では、アフリカ・セネガルにある女性のための職業訓練校に、日本から多額のカネが供与されていた。だが、そこを旧統一教会の関連団体である世界平和女性連合が運営し、布教活動に使われていたという疑惑が国会で問題になったため、外務省の国際協力局の某課長が現地に赴き、平和連合とつながりを示すロゴなどを全部外させ、幹部だった教師を追放したというのである。