昔から自民党は、保守的な総理が国民から愛想を尽かされるとリベラル寄りの人間を据えて目先を変え、連綿と続いてきた。

 だが、安倍政権以降、リベラル派がほとんどいなくなり、右寄り、保守的な人間ばかりの寄せ集め集団になってしまった。

 岸田がいい例で、国民に寄り添うといいながら、防衛費をGDPの2%と膨大にし、原発を再稼働するだけでなく、新しい原発をつくるとさえ明言したのだ。さらに、憲法改悪を急加速させ、九条2項を変更するとまでいいだしたのである。

 今回出馬するといわれる候補者の中にウルトラ保守は多いが、リベラル派と思えるような人間はほとんどいないようだ。

 河野太郎は、父親の洋平がリベラレ派の代表だったから、少しは期待していたが、持論の「反原発」は総裁になるには邪魔になると考えたのだろう、封印してしまった。

 今回の総裁選は、少し時間を長くして政策議論を深めるなどといってはいるが、誰が一番由緒正しい保守かを競うだけで、防衛費増額をやめよう、原発の再稼働はストップすべきだ、時給は1500円にすぐ引き上げるべきだなどという“建設的”な政策論争になどなり得ないことは間違いない。

 その上、皮肉なことに過去の総裁選より「派閥」の力が強まるということになる。麻生派の50人の動向が、決選投票になった時の1位、2位候補の命運を決することになるはずだからである。それに勢いを失ったとはいえ、旧安倍派の動向も勝敗を左右することになるかもしれない。

 ここでは、人気の高い3人にしぼって見てみたい。

 まずは、真っ先に立候補を表明した“コバホーク”こと小林鷹之から。東大卒で財務省入省。186cmの長身でイケメン。元東大ボート部主将で、経済安保や宇宙政策の第一人者だという。

 かっこよさでは進次郎に引けを取らない。彼のライバルになると見られているようだ。

 49の若さだからリベラルかと思ったら、「骨太の保守政治家に憧れがあるようで、地元の会合では、『教育勅語は今の日本には必要だ』とも発言しています」(地元関係者)