◆抗がん剤治療の真っ最中に、どうしても叶えたいこと

 そしてもうひとつ、わたしの最大の心配ごとがありました。

 わたしはフラメンコを習っていて、抗がん剤を打っている最中にフラメンコの発表会があるのです。フラメンコは下手の横好きですが、わたしの心の支えになっている「ライフワーク」とも呼べる大事な趣味。

 それまで2年間振り付けを練習してきた成果として、どうしても発表会に出たいという想いが強かったのです。

 ですが、さすがにそのために抗がん剤を遅らせるわけにはいきませんでした。手術後、通常1か月程度で抗がん剤治療を開始しなくてはいけないとのこと。治療期間は6か月。3か月後に控える発表会は、必然的に抗がん剤治療の真っ最中……。

 抗がん剤を打ってどれくらい具合が悪くなるかもわからないし、ウィッグで発表会に出ることができるのかもさっぱりわかりません。だけど出たい。でも不安。そんな気持ちをぶつけてみました。

 するとKさんは「出られます! 出ましょう!」と笑顔で即答。

「そうやって、目標を持つのは治療を乗り切るのにとても大事なことですよ。全面的に協力しますから、ぜひ発表会に出てください!」と思いきり背中を押されました。