◆あえて自分から勧誘されてみる

多少は付き合うものの、相手の手中には収まらないマルチ2世たち。

「要は、マルチ商法に対して免疫があるんですよね。ぜんぜんありがたくない免疫ですけど」

それでも付き合いのいいEさんは、勧誘とわかっていて誘いに応じることがたびたびあった。

「意地悪心からか、野次馬根性なのか。パーティとかで女の子に声をかけられ、家が近くだからと誘われる。そしてついていくと、もう1人が出てきて2対1とかでデモンストレーションがはじまるんですよ。この鍋で、こんな料理ができまーすみたいな。僕は料理好きですが、単純に見ても一般的な調理器具の4~5倍は高い。ものが違うというけれど、似たようなスペックでずっと安いものがたくさんある。デモンストレーションに飽きると、だいたいそんなことを伝えていました」

Eさん姉も、同様に勧誘されることが多い。

「老後の不安を煽って、副収入になるよと勧められたと話していました。寝ていても月5~6万入ってくるんだよ!だそうで。姉とふたりで、そんなうまい話は転がっていないと苦笑いです。親たちの活動をさんざん見ていますから。母をマルチ沼に引っ張り込んだ友人Hさんのように、それなりの収入を手にしている人は勉強会だパーティだと頻繁に主催して、会員獲得のために必死で働いている」

マルチ商法に限らずスピリチュアル教祖などもそうだが、発信を観察していると、それなりに羽振りのよさそうな人たちは感心するほどよく働いている。発信内容は「誰でもできる!」「たったこれだけで!」と手軽にできるかのようにアピールするが、動きを追うとまったく楽ではないことがよくわかる。