◆演じる人の雰囲気は日常生活で作られる

映画『ゴールデンカムイ』
――工藤さんの佇まいは、俳優の資質としてほんとうに特別なものだと思います。有村架純さんと共演した『夏美のホタル』(2016年)でひとつのフレームにおさまる素晴らしい演技を特に記憶しています。表情も含め、この不思議な力はなんだろうと。もし秘密があれば、教えてください。

工藤:なんでしょう、自分ではよくわかりません(笑)。

――カメラの前に立つと、自然と佇まいができてしまうのでしょうか。こうした感性はどこからやってくるのか……。

工藤:日常ではないでしょうか。

――日常?

工藤:はい。演じる人の雰囲気は日常生活で作られると思うんです。自分とは違う誰かの人生を演じる上で、(自分の)その雰囲気が必要ない部分もありますが、でも言葉を発するのも取り込んでいるのも自分でしかない。

顔つきや声のトーンなど、その人だからでる味。他の俳優さんが同じ役を演じれば、その人の良さが役の雰囲気になると思います。だからその人がどう生きてきたか、普段何を考えているのか、どういう人と会っているのか、実はそれが役作りに大きく反映されているのではないでしょうか。