◆介護職員が直面した「不適切飼育を正せないもどかしさ」

 20年以上、介護業界に身を置く大福豆さんは、これまでにも多頭飼育崩壊や不適切飼育をたくさん目にし、その度になんとかしたいという気持ちと、それができない現状に苦しんできました。

 過去には、子猫が死んだと泣く利用者が下駄箱の中にしまっていた亡骸を一緒に取り出し、庭の隅に埋葬したり、糞尿で汚染されたこたつの上掛けを調理の合間に洗って干したりしたことも。

「介護保険では、ペットの世話はNGですが、利用者にとって動物が家族で生きがいだと理解しているヘルパーほど、やむにやまれず隠れて対応してしまう。完全なボランティアです。

 2000年の介護保険施行後、改定のたびに利用者への生活援助そのものが大幅に縮小されてしまいました。ヘルパーが善意でしていたペットの粗相の始末などをする時間がなくなり、事態はより深刻になっています」