◆まるで促進栽培される野菜のよう
「ウチも少し大きくなってから買ってみたことがありますが、基本、親の言うことを聞く子ではなかったので、ひと口も飲んでくれませんでした(笑)」
「子どもの頭がよくなる食事」なんてものはいまでもまったくめずらしくなく、昔から定番の、親をターゲットにした健康ビジネスなのだろう。
詰め込みとも思える早期教育に、普通の食事にプラスαされる栄養剤。子育てを農作物に喩えては失礼だとは思いつつ、促成栽培の光景を思い浮かべてしまう。
◆教室が怪しいビジネスの入口に
よりよい環境を与えてあげたいと思う親心からであり、一般的には「子どもに手をかけている」として賞賛されることなのだろうけど。
「授業を長時間入れていると、当然待ち時間が長くなる。そのあいだに、母親同士で教育情報を交換するんですよね。みなさん本当に熱心で、まるで早期教育の百科事典みたいに何でも知っている。
しかしそこの光景が、まさに沼。怪しいものに対するアクセスがやたらと多く、しかもお母さんたちが信じやすいからです。
『一般には知られていないけど実は』『ここだけの特別な情報』というノリに、みんなが飛びついていました。狭いコミュニティ内で紹介されるので、そこで紹介されたものに行くと、必ずといっていいほど教室関係者に出くわす。みんなでぐるぐると、同じ沼のなかを徘徊しているような感覚でした。
とにかくみなさんエネルギッシュ。目が死んでる子どもらがたくさんいる一方で、活動的なお母さんたち。何か子どものエネルギーを吸ってるんじゃないかという勢いでした」
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