水季は津野くんの「気持ちを利用してる」ことも自覚しながら、ずっと一線を引き続けています。絶対に敬語を崩さないし、色目を使うようなこともない。津野くんにすがりつきながら、津野くんの気持ちを蔑ろにし続けている。
おばあちゃんからの電話が鳴って、津野くんが水季の死を察してしまうシーンは圧巻でした。おばあちゃんからの電話なんて、水季が死んだことを告げる以外ありえないことがわかっている。おばあちゃんも、水季と津野くんの曖昧な関係を利用していたということです。家族ぐるみで、その関係は曖昧なまま成熟していたのです。
■それは美徳なのか自己満足なのか
津野くんに敬語を使い続けながら、負担をかけ続けた水季。水季はただただ海ちゃんを必死に育てることだけを最優先として、津野くんの「好き」を利用して手伝わせることを「最低だ」と自覚しています。それでも、津野くんが走り回ってくれなきゃ生活が立ち行かないし、津野くんも楽しそうだし、まあしょうがないと思っていた。
津野くんは津野くんで、海ちゃんはかわいいし、水季の力になりたいと思っていた。
「僕のほうが悲しい自信があります」と言った津野くんの気持ちは痛いほどわかるし、今回、弥生ちゃん(有村架純)に「あの人(夏くんのこと)、水季水季うるさいんですよね」と言った気持ちもわかる。自分はずっと「南雲さん」って呼んでたし。
だけど踏み込まなかったのは津野くん、あなたなのよね。
シングルマザーにはお金と時間がない。このドラマで何度も語られてきたことです。
津野くんは海ちゃんのお迎えに行ったりお世話をしたりすることで、水季の時間の負担を軽減していました。
でも、金をくれてやったわけじゃない。金をくれてやるって言い方は直接的すぎてアレだけど、ちゃんと水季と海ちゃんの将来のことを考えて、シリアスなアクションを起こしていたわけじゃない。津野くんは、一度も水季にフラれていない。