バナナは、今回の調査で対象とした5栄養素のうち、「たんぱく質」以外はすべて1位(たんぱく質は同率2位)となる、堂々たる結果だった。

手軽さと栄養価の高さが魅力のバナナ


植草さんによると、バナナの魅力はなんといってもその手軽さ。皮をむくだけで食べられるので、普段フルーツを食べる習慣がない人でも取り入れやすいのが特徴だ。バナナというと炭水化物のイメージが強いかもしれないが、実はたんぱく質やミネラル、ビタミンなど、筋トレをする人に嬉しい栄養素が多く含まれている。

炭水化物のうち、運動時のエネルギー源になる糖質の摂取量は、身体作りやパフォーマンスに直結する。バナナに含まれる糖質は、単糖類のブドウ糖や果糖、少糖類のしょ糖、多糖類のデンプン。筋トレ前にバナナを摂取すると、単糖類からすみやかにエネルギーを補給できて、運動中は少糖類や多糖類からのエネルギー補給ができる。運動後は糖質を摂取することでネルギーを補給でき、疲労回復につながる。バナナは即効性のある単糖類と持続性のある多糖類の両方を併せ持つ、運動時の糖質補給にぴったりなフルーツなのだ。

バナナのBCAA含有量はトップクラス

また、バナナには筋肉の材料となるたんぱく質も含まれている。注目は筋肉で代謝されるBCAA=分岐鎖アミノ酸の含有量。バナナは、主に筋肉で代謝され運動時のエネルギーとして使われるBCAAの含有量が、12品目のフルーツの中でもトップクラス。しかも、BCAAのうち最も重要とされるロイシンの含有量が多い。筋肉の合成の刺激になると同時に筋肉の分解も抑制するといわれるロイシンは、身体作りにおいて重要なアミノ酸として注目されている。

ミネラルやビタミンB群も摂取可能

さらに、筋肉の収縮・弛緩の働きを正常に保つために働くカリウムや、カルシウムと拮抗して筋肉の収縮をスムーズにするマグネシウムなどのミネラルも多く含まれている。どちらも汗とともに失われやすいので、大量に発汗がある時は意識的に摂取したいミネラルだ。