月々の返済額をお得にするなら「返済額軽減型」でシミュレーション

期間短縮型では繰り上げ返済の金額を期間短縮のために利用した。返済額軽減型は文字通り、毎回の返済額の元金部分を減らすことに利用する。返済期間は変わらない。元金は減るが残高が一気に減るわけではなく、返済期間も長いままなので利息の負担を軽減する効果は期間短縮型よりも低い。

ただ、毎月の返済額が軽減される「お得さ」が必要なこともある。期間短縮型で人生全体での住宅ローン負担が「お得」になっても、ある時期の年間収支が赤字になり、別のローンを借り入れて損をしてしまっては意味がない。

返済額軽減型を優先すべき時期の一つは、住宅ローンの返済と教育費の掛かる時期が重なってしまうような場合だ。借入時には公立学校で十分だと考えていたが、子どもが私立校に進学したいなどと言う場面もあるだろう。子どもの学齢時に教育費が必要ならば、住宅ローンの月々の返済額を減らすことで対応した方がいいこともある。

また、近年は新規住宅ローンを変動金利で借り入れる人も多い。住宅金融支援機構の実態調査によると、2017年10月~2018年3月に新規にローンを組んだ人のうち、「変動型」を選んだのは56.5%、変動金利の一種で当初の一定期間固定金利を選ぶ「固定期間選択型」を選んだ人は30.1%で、併せると8割に上る。

低金利が長く続いたことで変動金利を選択した人が多いとみられるが、変動金利では金利が上昇すると返済額も上がるというリスクを伴う。このような時に家計を安定させるには、返済額軽減型で返済額の上昇を抑えることが有効だ。幸い、変動金利の金利自体は半年ごとに見直されても返済額の変更は5年に一度と決まっていることが多い。この間に資金を蓄めて繰り上げ返済に回してもよいだろう。

このような需要のためか、シミュレーションサイトのなかには、返済額軽減型の繰り上げ返済のシミュレーションしかしないところもある。

とはいえ、先に述べたように入力画面で選べるところで選択肢が期間短縮型となっていることもあるので、返済額軽減型のシミュレーションをしたい場合は、入力に注意が必要だ。

繰り上げ返済額が決まっているなら両方見比べられるサイトを

繰り上げ返済できる資金があっても、期間短縮型か返済額軽減型か事前にはっきりと決めかねる場合もあるだろう。例えば、相続や贈与でまとまった金額が予定外に入ってきたが教育方針や老後の備えについて特に考えがまとまっていない場合など、とりあえず、期間短縮型・返済額軽減型どちらもシミュレーションしてみて比べてみたい場合もある。

シミュレーションサイトによっては、どちらかの返済方式しか結果が出ないところもある。期間短縮型・返済額軽減型どちらもできるサイト入力でも、それぞれの結果が別の画面で出てくる。比べるには画面を切り替えたり、プリントアウトしたり面倒だ。

その点、一度の入力で両方の結果が画面に出てくるサイトが便利だ。公的な機関では金融広報中央委員会「知るぽると」のシミュレーションサイトが、一度の入力で両方の結果を同じ画面で表示してくれるので、両者をおおまかに比較したいのに向いている。

返済明細で繰り上げ返済のタイミングの重要性がよく分かる

もしシミュレーション結果画面で、さらに詳細な返済明細を見ることができるようになっていたら目を通してみよう。

例えば、計算機器メーカーのカシオのサイトの住宅ローンシミュレーションでは、元利均等返済でも元金均等返済でも月々の返済明細が一覧で出てくる。返済1回ごとの合計額だけでなく、元金分と利息分が分かるのだ。借入残高も分かる。同様のものを、住宅ローンを組んだ金融機関から「返済予定表」としてもらって保管している人もいるかもしれない。

返済明細表を見ると、元利均等でも元金均等でも、返済の初期ほど支払う利息が多いのが一目で分かるだろう。だから繰り上げ返済は早く行えば行うほど効果が高いといわれるのだ。

例として、元利均等返済の住宅ローンの期間短縮型の繰り上げ返済を例に挙げよう。元金を繰り上げ返済するということは、その一覧表の残高表を「ワープ」するようなものだ。返済25回目で2000万円の残高があるときで100万円を繰り上げ返済すれば、残高1900万円の時点まで返済が済んだことになる。その返済残高1900万円となるのが当初の返済予定では50回目だとしたら、26回目から50回目の間の利息分がお得になるのだ。

月々の返済予定に沿って実行するための正確な数字は1円単位で細かい計算を要する。これこそシミュレーションサイトを用いる理由だ。ただ、返済明細表を見ているとシミュレーションサイトが何をシミュレーションしているのか、その仕組みを実感しやすくなるだろう。

ネット時代の今はさまざまなシミュレーションサイトがある。それらをうまく使いこなすには基本的な知識が必要だ。その知識を使って自分のニーズに合ったシミュレーションサイトを選ぼう。返済予定表などより詳しい情報を見れば、繰り上げ返済のタイミングの重要性やその仕組みが実感しやすくなるだろう。

文・ZUU online編集部/ZUU online

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