繰り上げ返済の基礎知識

先に述べたように、資金を借りたら利息を付けて返済する。利息は元金に利率を掛けたものだ。そして長期間になればなるほど返済する利息は多くなる。

住宅ローンの代表格である住宅金融支援機構の「フラット35」を例にあげよう。2018年7月現在の金利はほぼ年1.34%だ(金利は受け付ける金融機関が決定するが、最頻値を住宅金融支援機構の「フラット35」のサイトで知ることができる)。これで試算すると、3000万円を年1.34%固定金利・元利均等返済で35年借り入れた場合の総返済額は3760万円だ。つまり760万円の利息を付けて返済していることになる。

利息は、借りた元金に金利を乗じて計算されるものなので、元金の残高が少なくなれば支払うべき利息が減る。通常の返済は利息も含んでいるが、繰り上げ返済は元金を直接減らす返済だ。そのため、元金が減る分、利息の負担が減ってお得となる。

ただし、繰り上げ返済には金融機関によって手数料を取るところもある。1回あたり無料というところもあれば、数万円というところもある。また、金融機関等によっては繰上返済金額を10万円以上や100万円以上でしか受け付けないところもある。このような事務手続きについても押さえておこう。

違うサイトなら「お得さ」の種類が変わることも

あるサイトで「これだけお得になる」という結果が出ても、それがその人の求める「お得さ」とは限らないことがある。繰り上げ返済の返済方式には期間短縮型と返済額軽減型があり、方式によって「お得さ」が異なるからだ。

総返済額をお得にするなら「期間短縮型」でシミュレーション

「繰り上げ返済がお得」といわれるのは期間短縮型を指すことが多い。これは、繰り上げ返済の資金を一気に元金を減らすことに用いて、返済期間を短縮するものだ。月々の返済額は変わらないが、返済期間は短くなる。

利息は長期になるにつれ金額が膨らんでしまう。だから、繰り上げ返済の金額を一気に期間短縮に使うと、その時点で元金の残高が減り、利息も大きく減ることになる。後で述べる返済額軽減型よりも、総返済額を減らす効果が高い。

返済期間を短縮することで、教育資金や老後資金が必要となるまでに返済を終えることができ、なおかつ人生全体を通じて住宅ローンの返済額を減らすことができる。これが期間短縮型の大きな魅力だ。

多くの人が選ぶことを見越してか、シミュレーションサイトでも、選択肢もあげずにこの期間短縮型の結果を出すところもある。また、前もって期間短縮型か返済額軽減型かを入力する場合も、最初の設定では期間短縮型となっているところが多い。もし返済額軽減型を選択したいのなら、この設定を変える必要がある。