◆離婚の申し出にモラハラ夫の定番セリフを絶叫

妻の様子が変だと思った武は、郁子の携帯に監視アプリを入れた。そして同じ会社で郁子が働いている現場を見てしまう。

帰宅後、どういうことだと迫られた郁子は、ついに「自立したいの。離婚を考えてます」と冷静に、だがきっぱりと言う。これが武の怒りに火をつけた。

モラ夫の定番「それがさんざん養ってもらった恩人への言葉か!」を絶叫する。あらゆるものを投げつけ、花瓶まで投げて自分の足から血を流す武を、勝村政信が妙に生き生きと演じている。

家族間で決して言ってはいけない言葉「出て行け!」を口にした夫に呆(あき)れながら、郁子は子どもたちを連れて家を出た。

彼女が自立したいのは、子どもたちのため、そして自分のためだ。社会に出て初めて、彼女は「自分」を取り戻しかけているところ。洋服もメイクも、まるでバブル期のようではあるが、彼女の中身は着実にアップデートされつつある。マルチタスクをこなしている専業主婦は仕事だって優秀なはずなのだから。

時代の最先端をいっているようなほのかが、好きな男のためにひたすら我慢する旧式女だったり、専業主婦で社会を知らないと夫が決めつけている郁子が、短期間で仕事を成功させたりと、ひとりの人間を重層的に描いているのが、このドラマのおもしろさでもある。