昨今はNHKや大手新聞などを中心に、ポリティカル・コレクトネスなどの観点から男女区別なく「俳優」と表記する傾向が強まっている。保母が保育士に、看護婦が看護師へと名称が変わっていったのと同じ流れなのだろう。だが、川上が指摘したように「女優」の響きの美しさや特別感から、従来の「女優」の呼び方のほうがいいという意見があるのも事実だ。

 また、NHKでも番組内容によっては「女優」表記が使われることがあり、新聞でも同じ紙面で「俳優」と「女優」の表記が混在していることがある。さらに、ドラマや映画のアワードにおいては現在も「男優賞」「女優賞」といった表記が使われており、受賞歴を記載する時は「女優」表記が避けられない。完全に統一されているわけではない上に、メディア側が「意識高そうに見える」という理由で、安易に「俳優」表記にしているケースもあるように見受けられる。

 この川上の意見に対して、フジテレビ系ドラマ『北の国から ’87初恋』で吉岡秀隆演じる純の初恋相手を演じたことなどで知られる横山めぐみが「私も常日頃から考えていることです。自分のことを俳優と呼ぶことに違和感を感じてしまい、自分から発信できる時は女優と言い張っております。女優という言葉の響きはとても美しいと思います」と反応。川上と同じように、女優という肩書にこだわっている同業者はいるようだ。