◆1人で戦っていたコロナ禍の出産

――真船さんはコロナ禍での出産でしたが、立ち会いや面会ができない大変さはありましたか?

真船佳奈さん(以下、真船):コロナ禍以外の出産を体験していないので比べられないのですが、ずっと1人で戦っているみたいな感じがありました。

母親学級も禁止で、病院は個室なのでほかの妊婦さんとも語り合えない。

出産した時は分娩台の脇にスマホをセットすることができて、夫と通話しながら産みました。無痛分娩だったので通話が始まった頃には痛みが引いていて、麻酔を入れる前に陣痛でのたうち回っていたのに夫はその姿を見ていない。仕方ないことなのですが、夫に対して「本当に辛いところは見ないで、出産のハイライトだけ見ているなあ」というさみしさがありました。陣痛中に夫に腰を揉んでもらったり、夫婦の共同作業を通して出産するというのに憧れはあったので残念な気持ちが少しありましたね。

産後も、ふにゃふにゃの新生児を渡されて、どうしたらいいのか分からない中、全部1人でやらなければいけないのも辛かったです。

真船佳奈さん
真船佳奈さん
――“夫は勤務先の部署で初めての男性の育休を取った”と描かれていました。

真船:なかなか休めないくらい忙しい部署だったし、育休を取る男性がそれまでいなかったので1ヶ月間の育休を申請するのはすごく大変だったらしいです。あまり自分のことを話さない人なので、そんなに苦労したんだと後から聞いて知りました。