◆デートに適した服も持っていなかった

 田中君とは次も会う約束をしているそうです。場所は近くの商店街だそうです。

「行きたいお店や場所があるなら女性から提案したっていいんですよ」

「もう決まっちゃったし。今回は商店街でもういいですよ」

地元の商店街
 美紀さんに、デートで着ていく予定のコーディネイトの写真を送ってもらいました。黒のライダースジャケット、黒のロングスカート、靴もバッグも黒です。

「地元だからって手抜きしすぎ! 全身、真っ黒じゃないですか」

「だめですか? スカートだし、いいかなって思ったんですけど」

 美紀さんは手持ちの服がほとんど黒白、カーキばかりでした。銀行員や公務員や経営者と付き合いたいという割にコンサバな服もほとんどないのです。大急ぎで明るい色のトップスを買ってデートに間に合わせました。

 デートで田中君の仕事のこと、地元に戻ってきた理由いろいろ質問したそうです。エンジニアとして東京で就職したのですが、会社が合併し仕事が忙しくなり、たまたま転職を考えていた時に大阪の会社でご縁があって地元に戻ってきたそうです。