◆「イオンモールでデートなんて普通ないですよね」
「でも、なんていうか全体的に向上心がなくてマイルドヤンキーっぽいんです。
30代の大人のデートなのに2回目のデートで行ったのが地元のイオンモールなんですよ。普通は梅田とか京都とか提案しませんか?」
田中君にまつわるやりとりから、美紀さんが今までどのように男性を評価してきたかが少しずつ垣間見えてきました。
「普通のデートは梅田なんて思っていると、またデートのエスコートだけ上手で女慣れした“だめんず”を掴んでしまうと思いますよ。結婚生活の幸せ度合いと、おしゃれなデートスポットを知っていることって関係ないですから。あと、向上心がある男性がいいんですか?」
「そうですね。できたらそういう男性と結婚したいです」
美紀さんの理想は「会社経営者のように向上心があって尊敬できる男性か、大卒以上で公務員とか銀行員とか安定している仕事に就いている男性」なのだそうです。そういう男性とうまくいかなかった過去から学ぶべきことがあるはずなのに、美紀さんにはそれが見えていません。
「そういう男性が、アラフォーで実家暮らしの美紀さんを選ぶメリットってどこですか?」
「え! 考えたことなかったです。そう言われたらないですね」
「田中君だって実際に美紀さんのことを知っている友達が紹介したってことですよね。紹介する人だって釣り合いを考えるでしょう」
「そうですよね……」