◆『いちばんすきな花』が他のドラマと違うところ
ドラマでは効果音やカメラワークなど、演出によって笑いどころを作るケースが一般的。本作では、そういった演出を活用するわけでもなく、ボケとツッコミがあるわけでもなく、ただの会話だけで笑顔にさせるシーンが多い。脚本のセンスはもちろん、役者陣の演技力がいかに優れているのかに気づかされてばかりだ。
辛いシーンや楽しいシーンだけでもない。4人が席に座った時に発した椿の「同じもの見たからって、みんな同じ気持ちになってたら気持ち悪い」「言っちゃダメなことはたくさんあるけど、思っちゃダメなことはない」というセリフはパンチラインすぎた。登場人物だけではなく、他人と違うことを警戒して、そして他人から排除されることに恐怖を感じている人は少なくない。そうした人達の心に寄り添い、肯定してくれる優しいセリフだった。
面白さだけでなく、心が救われる言葉が目立つ本作。今後の展開だけではなく、言葉ひとつひとつにも注目したくなる。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki