洋服を選ぶように、企業を選ぶ

(写真=森口新太郎撮影)

ーー洋服を選ぶときと同じ?

例えば私が今着ているのは、ウォッシャブルのスーツなんですが、「安くて質の良いウォッシャブルスーツが欲しいな」と思ったとき、いろんな企業の商品を見ると思います。このとき、価格は安くても、あまり品質がよくなかったりすると、「値段の割には品質がよくないな」ということで「割高だな」と思いますよね。つまり、スーツの価格と品質を比較して、その商品が割安なのか割高なのかを判断しているということです。

株を選ぶときも、実はこれと同じで、同じ業界の中でも株価が割高なのか割安なのかを比べるための数値が「PER」なんです。PERは数値が大きいと「割高な可能性がある」とわかります。私は文系なので数字だけを見るのがあまり得意ではないので、金融や経済で出てくる数字をできるだけ自分の身近なものに置き換えて理解するようにしています。

あと、これは「おまけ」の条件ですが、その企業の時価総額がそんなに大きくないとよりよいと思います。その方が、商品がヒットしたときに、株価の上がり幅も大きいと思うので。ただ、時価総額が大きくても「上がりそうだな」と思ったら買うこともあるので、時価総額はあくまで「おまけの条件」という感じですね。

ーー注目している事業がその企業にとってメインの事業かどうかということは重要だと思います。例えばコンビニで、ヒットしそうな美味しいお菓子を見つけても、それを作っている企業が冷凍食品の製造を主力とする企業だったりすると、株価と連動しなかったりして……。

はい、どうしても、自分の得意分野でキラリと光る商品を見つけて、それが「売れる」と思うと、その企業の株を買いたくなってしまうんですけど、その企業の売上に占める割合が低かったら残念だなと思って諦めます。

ーーそこは諦めるんですね。

そうですね。もちろん企業が新しく事業を始める場合や、市場で人気の事業であれば、売り上げに占める割合が小さくても評価されることはありますが。ただ、投資がたとえうまくいかなかったとしても、知識や自分の視野は広がります。その企業について詳しくなるというだけではなく、例えばその企業が海外展開していたら、為替の動向もどんどん気になるようになります。1ドル何円というニュースが自分事として思えるようになるのがすごく楽しいです。

失敗したときは、もちろん悔しいっていう気持ちはあるんですけど、余裕資金で投資するというルールを守っていれば、たとえ損失を抱えても耐えられますし、挽回するチャンスもきっとあります。そうすると、傷は浅く、人生は豊かになるのかなって思います。

お金は「自分の分身」

(写真=森口新太郎撮影)

ーー私も株主優待が好きでいくつか株を持っているのですが、株の話って女友達にはしづらくありませんか?

そうですね。あまりしないです。ただ、関心ある方はすごく多いと思います。

女性って、ライフイベントで人生が大きく変わりますよね。結婚して、旦那さんが転勤したら仕事を辞めるかもしれませんし、出産したら休業しなければいけなくなるかもしれません。そうなると自ずと「将来、お金どうしようかな」と先々のことを考える人は多くて、最近だと「つみたてNISAをやってみようかな」という声もよく聞きます。

ーー「投資に興味はあるけれどどこから始めたらいいかわからない」という人には、どういうアドバイスをしていますか?

時間がなかなかとれなくて、株価をずっと見ているのも辛いという人には、投資信託から始めるのが一番いいのかな、とは思います。例えば「つみたてNISA」であれば、金融庁が設けた基準を超える投資信託やETF(☆)しか買えないシステムになっています。

また、お金は「自分の分身」とも言われます。投資信託を通じて間接的にアメリカの株や債権を購入し、お金に海外へ”行ってもらう”ことで、自分も海外に興味を持つことができるようになったりします。

株の場合だと、その企業の株を買うことで株主としてその企業の一員になったような気持ちにもなると思うので、もしそういう気持ちで投資をしたいのであれば、ちょっぴり損をしても後悔することはないのではないかと思います。

☆ETF(イーティーエフ)とは?
 Exchange Traded Fundsの略称で、国内外の取引所に上場し、通常の株式と同様に市場で売買される投資信託のこと。信託報酬などの運用コストが比較的低いのも特徴。(参照:SMBC日興証券「ETF [上場投資信託]」)