■そんなことはいいんです

 そんなことより、なんか、一線を越えてきたなと感じさせる回でした。

 これまでも「お涙」最優先の安い展開に批判的な立場のレビューを書いてきましたが、それも自分で作ったファンタジー設定の中で遊んでる分には別によかったんです。

 やれ案内人だ、やれ奇跡だ、やれ五感を失うだ、そういう空想の中で子ども騙しをやってる分にはよかった。いちおう大人としてレビューを書くという仕事なので矛盾点や軽率な部分にツッコミを入れてきたけど、ファンタジーの中では雨ちゃんの「不幸」もドラマのオリジナルな「ファンタジー不幸」なので、それに乗って泣けるなら泣けばいいし、笑いたければ嘲笑すればいいという性質のものだった。

 しかし前回あたりから、介護とか病気とか、そういう現実世界の現象として雨ちゃんの不幸を扱い始めている。やべえな、と前回思って「ファンタジーとして五感を奪うなら、ファンタジーとして悲劇を描け」「作り手の都合に合わせてリアリティの線を引き直すな」といったことを書きましたが、そんな懸念を天下の月9は軽々と超えてきました。

 自分で歩けなくなる可能性を認めた雨ちゃんが、障害者施設の下見に行くシーンがあります。