◆同じ傾向を持つ星野源『アイデア』との違い

 こうして、生存にかける熱いエネルギーを、暗鬱な言葉で表現するのもいつもの米津節。

 同じ傾向を持つ星野源の『アイデア』(2018年『半分、青い。』)にも、<生きてただ生きていて 踏まれ潰れた花のように にこやかに中指を>というフレーズがありますが、星野の場合は、よりマニフェスト的です。政治家のように聞き手に呼びかけて行動をうながす感覚があります。

星野源『アイデア』
星野源『アイデア』
 星野源が「うちで踊ろう」ならば、米津玄師は“お前らは知らんが俺はうちで踊る”なのです。

 その点で、米津玄師は日本的な作家像を、より忠実にフォローしていると言えるでしょう。