◆それでも、ひとりじゃない

本書には加害者と被害者、両方の立場から物語が進んでいきます。親というのは子供にとっては絶対的な存在で、どうしたって子供のほうが弱者です。

子供の頃に受けた傷は、想像を絶するほど大きく、悲しいものです。被害者として、傷を持って生きるのは容易ではない、でも頼るべき人もいて、人は孤独ではない。

加害者にもまた、変われるチャンスがある。

本書にある「救い」は、必ず誰かの励みになるはずです。

<文/森美樹>

【森美樹】

小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx