◆開かずの間には、見知らぬ男性の洋服や、ワインの空き瓶

母の家に行くと
「母に、『入っちゃダメ』と言われましたが、『私の荷物を探している』と言って無理やり入りました。部屋にあった大きなボックスの中には、見慣れない男性の服が無造作に置いてありました。

 それだけではなく、母は酒を飲まないはずなのに、台所にワインなどのアルコールの空き瓶が転がっていたんです。

『これは何?』と母に問いただすと、祖母の介護のために通っていた施設で知り合ったオーストラリア人の留学生が、ほぼ同居状態でマンションに入りびたっていることが判明したんです…」

 香織さんの母は、外国人とは「あくまで友達関係だ」と言い張りました。

「母の態度にもあきれましたね…。本当は祖母と同居をさせるために、父がバリアフリーのマンションを買ったんです。まさか、父の知らない外国人が住んでいるとは思ってもよらなかったはず…。

 父は、『どうだった? あいつ元気だった? 老後はまた二人で暮らそうと思うんだ』と、のんきに言うので真実を伝えることができないんです」

 と、困惑する香織さん。

 これからも増えそうな熟年別居。幸せなままだと思っていた両親にも、久しぶりに帰省をすると意外な事実が待っているかもしれませんね。

―シリーズ「帰省の悲喜こもごも」―

<文/阿佐ヶ谷蘭子>