◆値引きシール付きのパンを山のように

半額
「私の列の前の前に、愛さんが並んでいました。それが、カゴいっぱいに半額のシールが貼ってあるパンが詰め込まれていたんです。先にカゴに目が入ってしまったので、声がかけられなくなりました」

 いつも通りのミニスカートにヒールの靴を履いた愛さんは、半額の値引きシールが貼ってあるパンを大量に購入していたそう。

「あの日まで、私の中では愛さんは『お金持ちの夫と結婚した勝ち組』だと思っていました。お金持ちの愛さんが、半額の値引きパンを買う意味がわからなくて、理由が気になって仕方がありませんでした」

 心さんは翌日、思い切って愛さんに話しかけてみたそうです。

「『昨日、19時半頃あのスーパーにいましたよね?』と聞いてみたんです。そしたら、愛さんは真っ青な顔で、『いいえ。お人違いではありませんか』と答えました」