学校の教師になるには、大学で必要な授業の単位を取って教員免許を取り、教育実習に行き、採用試験を突破してと、いくつもの関門を超える必要があるが、塾講師になるハードルは決して高くない。また、多くの塾は人手が足りておらず、しばしばこんなことが起きるという。

「私の専門は数学ですが、しばらく勤務すると、塾から『他の科目も教えられない?』『中学生の英語ならイケるでしょ?』と、担当科目が増えるのはよくある話。そつなくこなすと担当はどんどん広くなり、気が付いたときには、どんな科目、どんな学年でもOKの“スーパー講師”の誕生です」(Nさん)

 小規模の塾ならまだしも、大手でもしばしば見られる光景だとか。また。こんな特徴もあるという。都内大手進学塾関係者のSさん(40代/男性)は言う。

「塾講師で正社員になるのは、学生時代にアルバイトをしてそのままズルズルと就職した人、大学院まで行ったのに就職口がなかった人、教員試験に落ちた人、資格試験浪人などが典型的なパターン。私も司法試験に落ち続けて塾講師をやったクチです。