成績を上げるため、進学のため、学校の授業についていくため……塾に通う目的は様々だが、子供は放課後の自由な時間を潰し、親は家計をやりくりして月謝を捻出するという点では同じ。しかし、塾業界の内情を知れば、通わせるのをためらう人がいても不思議ではない。

大学卒業後、複数の塾に勤めた後に個人塾を開校したNさん(40代/男性)は、塾講師の問題点についてこう語る。

「最大の問題は、塾講師に資格が一切必要ないことです。講師になりたければ、履歴書を提出して筆記試験を受け、面接を経て採用される流れ。研修や模擬授業を課すところもありますが、いきなり現場に出されることも珍しくありません。

 就職試験のように何段階も面接があるわけではなく、結局は履歴書で学歴をチェックして、筆記試験で一通りの問題が解けるかどうかをチェックするのが関の山。学力の高さと教える能力は別ですが、どうしても学歴が高い方から採用されがちです」