◆悩める教え子に、ゆくえの優しさが溢れまくる

 後半にも印象的なシーンが見られた。ゆくえが勤務する塾には、不登校ぎみで保健室登校が多い中学生・希子(白鳥玉季)が通っている。ある日ゆくえの前に、希子と仲が良いクラスメイトの朔也(黒川想矢)が塾に姿を現す。朔也は落ち込んだ様子を見せており、理由を聞くと、“希子がクラスメイト全員から嫌われており、嫌がらせを受けている”にもかかわらず、希子のために何もできないことを悔いているという。

 朔也の話を聞いたゆくえは「それさ、本当にクラスメイトみんな?」「みんなに嫌われているわけじゃないよね」と口にする。朔也もその“クラスメイト”ではあるが希子を嫌っていないため、クラスメイト全員ではないという。

 続けて、「希子のこと、みんなから嫌われてる子だから『嫌い』って子もいるでしょ」「みんなが『あの子のこと嫌いだから』って理由で、みんなにならなかったのはすごいよ。それだけでその子は救われると思うよ」と朔也の抱える苦しみを優しく包み込んだ。