◆菅野美穂はドラマそのもののような存在

 とはいえ、彼女も人の子だ。緊急事態だというのに、まるで手を貸さない吾良の妹・伊沢志生里(宮澤エマ)やゆりあの苦難を笑う姉・泉川蘭(吉瀬美智子)の身勝手さにゆりあは、精神的に追い詰められていく。

 吾良を施設に入れるか、それとも自宅で介護するのか。迷った末に、後者を選ぶ。昼はヘルパーがくるが、夜はひとりで世話をしなければならない。するとある晩、節子が激しく咳き込む。これは助けがいる状況。

 でも頼りがいない。何もかも嫌になる。彼女は涙をたたえながら、仕方なく稟久に電話をして手伝いを頼む。

 弱さと強さを同時に溢れさせながら表現する菅野の演技がしみる。菅野美穂自体がドラマそのもののような存在なのだ。