◆いい加減に茶化す筒井道隆の雰囲気

『あすなろ白書』
©柴門ふみ/小学館 ©フジテレビジョン
 何せ彼女は純愛の申し子。ロケット花火で遊んでいる浜辺。なるみは、保から唐突にキスされる。保に特に意味はない。でもなるみにとっては、忘れられない記憶になった。

 彼女は言う。「掛居君が5分で忘れちゃったようなキスについて、私はひと月も二月も考えてたんだよ」 。この台詞から、純愛の火花が控えめながら、スパークする。一応彼女の気もちを理解したらしい保だが、筒井の素朴ながらなおかつチャーミングな捉えどころのない雰囲気が、いい加減に純愛を茶化す。

『総理と呼ばないで』(1997年)での官房長官役なども様になっていた筒井ばかり目立つなと思っていると、やや低空飛行から伸びやかに木村拓哉が上昇してくる。黒縁メガネの冴えないキャラだからこそ、むしろ光るものがある。