『水ダウ』はあくまでテレビ番組であり、その番組が巻き起こした騒動と、その当事者に対するケリはきっちりと付けてきた。チャンスの「そもそもインたけはネタが弱いんですよ」という発言をそのまま使ったのはテレビとしての誠意だったと思うし、その誠意は残酷だったとも思う。
吃音のあるなしにかかわらず、ほぼすべての芸人を目指す者はテレビに出たいし、出られないままキャリアを終える。人生を終える。それでも続けるか続けないかは本人次第だという、ごく当たり前の現実を目の当たりにした企画だった。
テレビに出すか出さないかはテレビが決める。芸人を続けるかどうかは、インたけ自身が決める。何を見て笑うかは、視聴者が自分の目で見て考えて決めろ。そう言われているような気がした、この夜の『水ダウ』だった。
(文=新越谷ノリヲ)