だが番組終了後、SNS上で「インたけの吃音を笑いものにしている」「バカにしている」といった論調の騒ぎが起こり、NPO法人・日本吃音協会が『水ダウ』に対して「吃音者に対する差別と偏見を助長する者であり、再発防止と番組制作の基準・指針の見直しを要求」するに至った。

 これに当事者であるインたけはX上に「またテレビジョン出たい!!」とだけポスト。インたけは現在44歳。20年に及ぶ芸歴のほとんどすべてを地下ライブの劇場で過ごしてきた芸人である。それは心からの叫びだったに違いない。

 ドッキリという企画の性質上、仕掛けられる側があわてふためく様を見て笑うという構造は動かしようがない。オンエア上で、チャンスにドッキリを仕掛けられたインたけはあわてふためき、困り果て、どもった。視聴者がその「どもり」を笑ったのか、インたけのリアクションそのものを笑ったのか、その区別は簡単ではない。「人を傷つけない笑い」という言葉が一般化して、もうずいぶん経つ。

「少し時間はかかってしまいましたが、今夜、インたけ騒動に一応のアンサー回です。このあと22:00~『水曜日のダウンタウン』よろしくお願いします。」

 放送直前、『水ダウ』演出のTBS・藤井健太郎氏がXにポストした。何かほかの企画に呼んでお茶を濁すわけではなく、明確に「アンサー回」と称したところに送り手としての覚悟が滲む。

 かくして、この日も信頼の超おもしろ番組『水曜日のダウンタウン』が始まった。