◆受験のプロが「受験の成功は親が1割」と力説する理由

 親が疲弊すると、当然子どもにいい影響はありません。他にも親同士の付き合いやスタンスについて、気をつけるべき点を教えていただきました。

「我が子の受験情報は不用意に明かさないほうがいいとは思いますが、『難関校に受かった』などの話は、当人が話さなくても勝手に広まりますので、ある程度割り切りましょう。そのときの親の対応としては、あくまでも子どもが頑張っただけだというスタンスを取って欲しいです。

逆に子どもの受験結果が思ったようにいかなくても、変に劣等感を持たず、運だと割り切りましょう。もちろん受験の運も、読書や計算力をつけることで巡りを良くすることはできます。しかし、そうはいってもコントロールできない要素はゼロにはできませんので、思い詰めないで欲しいです」

 長谷川さんに中学受験における運の要素の割合をズバリ聞くと、「運は4割!」と話します。意外と多くてびっくりするのですが……。

「中学受験は、子どもの努力が5割、運が4割、親の努力が1割だと思います。意外に思われるかもしれませんが、運の要素は結構大きいです。例えば塾選びでみたとき、1科目だけでも嫌いな先生がいたら終わりみたいなところがあります。転塾するにしても、慣れない環境におかれることによって基本的に学習効率が下がるので、ネガティブな要因になりやすいです。

 受験の前段階として公文式(公文教育研究会が提供する、自学自習形式で伸ばす塾)を始める子も多いですが、こちらも子どもの理解度に合わせて進める先生と、カリキュラムのペースを重視し、同じことを繰り返す先生がいます。これは校舎の当たり外れなわけですが、入るまでは分かりません。親は入塾後など、子どもの様子をしっかり観察する必要はありますが、運が悪かったと割り切るドライさも持って欲しいです」