◆役作りへの思い

『こわれること いきること』より
『こわれること いきること』より© 三英堂商事/アイ・エム・ティ
――いくつものメッセージが込められた物語だと思いますが、ご自身ではどう受け止めていますか?

藤田:両親を失った主人公の遥が失望の中から希望を見出し生きていこうとする作品であることと、福島だけでなく、日本人全体が抱えている高齢者の方々をとりまく課題、日本の介護の仕組みなどが描かれていて、とても複雑で深い話だと思いました。

――決して遠い話、他人事ではないですよね。

藤田:そうですね。みんな生きていれば、必ずそういう時期が来るものですよね。私の父も亡くなる前には認知症を発症しましたので、身近に感じました。監督は介護の現場に携わる方々の仕事の大切さや、生きていくことの素晴らしさを伝えたかったのだと思います。

――由美子役は、どのように作り上げていったのでしょうか?

藤田:彼女は回想シーンを除いて、すでに認知症が発症しています。監督からの特別な指示はなかったので、同じ病気の症状の方の ドキュメンタリー映画を探して、その方を参考に所作、表情を取り入れたつもりです。