◆「綺麗なお姉さんだと思っていたのに…」
そんなある日、いつもの飲み屋で真由香さんが一人で飲んでいると、隣りに座っている美容師と思われる男性2人の会話が耳に入ってきました。
「ちょうど祐樹くんと同じ歳ぐらいのおしゃれな男子が『偶然お客さんのインスタ見つけちゃったんだけどさ、綺麗なお姉さんだと思っていたのに、おばさん構文全開でがっかりしちゃったよ』って苦笑いしていて“なにそれ、どういうこと?”と思わずその場で検索してしまいました」
すると、ハートやキラキラなどの絵文字を多用・同じ絵文字をいくつも重ねて使う・句読点が多い・三点リーダーを多用・文章が長い・文頭で「あらら」を使う・お母さん目線になり体調を心配してくる・天気の話が多い・「〜」を使いがち、などのおばさん構文の例がいくつもあげられていたそう。
「読めば読む程クラクラしてしまいました。私、このほとんどをやっていたんですよね。祐樹くんに『こんなおばさん構文の例文みたいなLINE送ってきてギャグなのかな?』とか思われて、残念なおばさんだと哀れみの目で見られているのかもと一気に落ち込んでしまったんです」
それ以来、楽しみにしていた祐樹くんからのLINEが怖くなってしまった真由香さん。
「祐樹くんから『昨晩寒くて風邪気味です』と送られてくると、以前の私だったら『あらら…大丈夫?(汗の絵文字3つ)今の時期は夜寒いから羽織るものを持って出かけた方がいいよ(ハートの絵文字)』と平気で返していましたが、これらは全部おばさん構文で若い人達にウザがられているのを知ってしまったので、何を書いたらいいのか分からなくなってしまったんですよね」
それが原因で祐樹くんのLINEへの返信が異様に遅くなってしまい、文章もぎこちなくなったせいか次第に連絡が途絶えてしまいました。
「なんとなく気まずくなって、その飲み屋からも足が遠のいてしまいました。
若い子におばさん構文を送りつけて迷惑をかけたり、私が若い文章を書こうと空回りして疲れるのはもう嫌なので、祐樹くんと会えなくなるのは寂しいけどこれで良かったんだと思いました」