◆『光る町田君へ』と改題

 町田啓太ファースト写真集「BASIC」(光文社)
町田啓太ファースト写真集「BASIC」(光文社)
 ただやっぱり、こうした公任の音楽的感覚ですら、塚本の批評眼の前では、「それ以上の面白みはない」という評価になってしまう。ならば、公任その人を語るのではなく、町田啓太フィルターをかけた公任を徹底的に見つめることに方向転換しようと思う。

 平安貴族がほんとうに町田のようなイケメンだったかはよくわからないが、すくなくとも本作の公任役には町田しか考えられない。今や劇団EXILEの代表的な俳優だが、もともとはGENERATIONSのメンバー候補でもあった。

 同グループ時代に磨いたダンスや音楽(管弦)、『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』(NHK総合)での博学な超解説ぶり(知識人)、天性のモテをにじませるつややかさは、うまい歌を詠めなければモテなかった平安貴族の必須能力も軽やかにクリアする。

 平安貴族が持つべき素養や才能が、令和を生きる町田にもそのまま備わっているのだ。町田が演じることで公任の完全無欠さが強調される。まさに最強説が強化。

 光源氏役に適役だと評判なわけだし、本作のタイトルをもはや「光る町田君へ」と改題したらどうだろう?

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu