◆町田啓太扮する公任最強説

 あるいは、公任を筆頭に、道長、藤原斉信(金田哲)、藤原行成(渡辺大知)のイケメン4人衆がまるで、“平安のF4”という見方まで成立してしまっている。

 歴史絵巻がこうして現代の視聴者によって自由に読み解かれ、解釈されることは興味深い。

 公任の初登場は、第3回。道長と斉信が囲碁を打つ傍ら、床に左手をついてゆるりとしているのが公任。なんという余裕。まるでこの寝殿造りの室内が町田の左手にフィットするように設計されているのかしら。

 そんな感じだから、女子からの恋文を読んで、「歌はうまいが、顔がまずい」と平然と言ってのける。

 この公任役に導かれながら、さらなる妄想が豊かに広がる。公任と町田、両者のファンである筆者は、町田扮する公任こそが、大河ドラマ史上最強なのだという説を唱えたくなった。

 よし、勢いづいた。こうなればチャンス到来。今こそ、一矢報いることができようぞ。さまざまな和歌集で名歌が紹介されている公任だが、例えば、『新古今和歌集』に収められたこの一首はどうだろう?