◆向井自身とキャラクターをセットで記憶

『ドラマ対抗お宝アワード』では、2006年の芸能界デビュー当時の初々しい演技が紹介された。玉木宏と上野樹里がそれぞれ天才音大生を演じたドラマ『のだめカンタービレ』(フジテレビ)だ。向井はモテモテなチェリスト役だった。

 短髪で眼鏡。現在の向井が演じる役柄からは想像がつかないデビュー年らしい姿ではなかったか。

 医大生がカンボジアに学校を建てる『僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia.』(2011年)での映画初主演も忘れがたく、昔から向井自身から受ける印象とキャラクターがセットになって記憶されるように思う。

 最近では、『着飾る恋には理由があって』(TBS、2021年)でのカリスマ社長役のジェントリーな佇まいや『先生のおとりよせ』(テレビ東京、2022年)のユニークな小説家役など、俳優としてのキャリア17年の味わいを感じさせる。そこへこの孔明役を畳み掛けてきた。

 これまた長く記憶に残りそうな役柄だ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu