ドラマでいえば、藤原兼家(段田安則さん)や源雅信など、黒い束帯をまとった人々が左右に分かれ、頭を突き合わせて会議をしているシーンがよく出てきますが、あれに参加している人々のことですね。

 ちなみに当時は身分低き者に「人権」などなかった時代ですから、仮に直秀の刑死にまつわるエピソードが事実だったとしたら、「公卿」藤原兼家さまのご子息・道長さまのご意思を、検非違使ごときが踏みにじってしまったら、自分の命はおろか一族郎党まで亡き者にされても文句はいえなかったはずなのです。まぁ、平安時代を支配していたのは名ばかりの「平安」で、実はかなり怖い時代であったということですね。

 直秀にお話を戻すと、彼の仲間には「輔保」(松本実さん)という名前のキャラもいたので、直秀一味が袴垂や藤原保輔の逸話を反映したキャラたちであったことは間違いないでしょう。いずれのモデルと目される人物にも「義賊」としての一面はありませんが……。

 また、当時の葬送所として有名だった鳥辺野に連れて行かれ、あっけなく殺されてしまった直秀ですが、悪い予感がして後を追いかけていった道長とまひろが二人だけで、しかも素手であれだけの人数分の穴を掘ることができたのか……? というドラマの演出にはさすがにツッコミも入れたくなりますが、触れるのはヤボでしょう。