■どうやら個人に帰結していきそう

 原作では(まだ未完ですが)リッカのマークの意味は語られていません。語られないまま、灰川の育った集落に残る奇妙なしきたりや恩讐が徐々に明らかになってきています。

 一方、ドラマではリッカのマークの意味をはっきりと定義づけたうえで、灰川の個人の問題へと帰結させています。ここがおそらく、もっとも大きな改編になりそうです。ここから、ドラマは大きく原作からそれていくことになる。

 その分水嶺として、リッカのマークをハニカム構造と結びつけながら灰川の人生の象徴としたわけですが、このアイディアって「ただ改編してないな」って感じさせるものだったんですよね。単にコミックをドラマ化するにあたって、話をシンプルにしなきゃいけない、1クールに収めなきゃいけない、テレビ向けに派手にしなきゃいけないという枷はいろいろあると思うんですが、ただやってない。ちゃんと考えておもしろくしようとしてやってることが伝わってきたので、もう信用していいかなと思うんです。最初からちゃんとやってる雰囲気は伝わってきてはいましたけど、もう信用していいと思う。

 このお話は、虐げられた子どもが「×」をつけられ、信用できる大人にその「×」を「最強」に変えてもらった男の話でした。

 その男が、「犬山さん」に会えなかった子どもたちを集めていた。自分が「犬山さん」になろうとしたのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。

 マークに意味が付与されたことで、お話が一気に見やすくなりましたし、謎もまだまだたくさん残っている。今回見せた改編は、センスあるなぁと思います。はい。

(文=どらまっ子AKIちゃん)