◆結婚した後も手元に置きたい
職場は実家から車で10分。時間には余裕があったので、ヨガやフラワーアレンジメントなど趣味にも精を出した。結婚するまでの自由な時間を楽しみたかった。
母親は、カスミさんが就職するやいなや、どこからそんなに集めてくるのか、たくさんのお見合い話を持ってきた。
「私はお見合い相手にはウケがいいんですよ。次女で、仕事もカタい。母もそれをわかっているのか、肩書きのある人ばかりすすめてきましたね」
何人かと会ってみたが、彼女いない歴=年齢、といった風情の人ばかり。彼らは、カスミさんと会話が弾んだことを喜んだが、カスミさんは気疲れしただけだった。
相手とその親から望まれても、母親がいくら推しても、カスミさんは、交際を固辞した。
「母親の敷いたレールには乗りたくなかった。何がイヤって、近隣に住んでいる人ばかりなんですよ」