生涯住める家がある―――人によっては、とても魅力的なフレーズに聞こえるだろう。それも一軒家。敷地面積は広く、庭もある。築年数は古いが、家賃もいらなければローンも残っていない。
地方に暮らす、40代独身女性にお話をうかがうシリーズ、3回目は富山県在住のカスミさん(42歳)。現在、生まれ育った家に母親とふたりで住んでいる。
「ウチは4人家族で、父と、専業主婦の母、それから年子の姉とこの家で暮らしてきました。姉が生まれる前に建てたので、築44年。そこからまず姉が結婚して出ていき、2年前に父が亡くなりました」
カスミさんは自室にある、モスグリーンのソファに背を預けて、インタビューに答えてくれた。そこここに、センスが光っている。都市部の人が見たら「田舎の古い家でこんなふうに暮らしてみたい」と憧れそうだ。