◆「部屋数を増やしましょう」と提案する営業マンの真意
道路側に面したウッドデッキを機能させるには、背の高い目隠しフェンスを取り付ける必要があったりと、コストがかさむケースが多いそう。また、「部屋数を増やしましょう」の提案にも注意が必要だとか。
「工務店が部屋数を増やしたがる理由は、もっとも利益率が高いから。部屋を増やす場合、追加工事金額は坪単価計算になります。しかし木造建築では、例えば30坪の家を31坪に増やす上で、木材の追加コストが坪単価に正比例して増えることはほとんどありません。よってキッチンのグレードアップや建材のグレードアップより、利益率が高くなるんです。
大手ハウスメーカーに行って家の面積を小さくするとその分安くなりますか? と聞いてもらえたらすぐに分かります。比例して安くはなりません。つまり、面積が大きくなると坪単価自体は安くなるということなんです。
『将来、お子さんが増えることも想定して』と誘うのは定番で、コロナ禍では『リモートワーク用に一部屋増やしましょう!』と提案するケースもよくあることでした。お客さんも気分がハイになっているので『確かにあったほうが、なにかと便利かも?』と乗ってしまいがち。ただ、実際のリモートワークはリビングでやっていた人がほとんど。一部屋増やすと少なくとも200万円くらいコストがプラスされるので、コロナ禍も落ち着き『作る必要がなかった』と、後悔している声もよく聞きます」
こちらの生活を想像し、寄り添いながら提案してくれるのが信頼できる営業マンの条件。“デキる営業マン”と出会うためには、様々な住宅展示場へ足を運んでみる努力も必要だといえそうです。
【乃村一政】
(株)マイホム代表取締役CEO。1976年、奈良県生まれ。高校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)へ14期生として入学。約6年間の芸人活動を経て、訪問販売の営業マンに転身。2006年より住宅業界へ移り、2010年に奈良県でSOUSEIを設立。2021年にマイホムを設立。
<取材・文/カネコシュウヘイ>