◆「発達障害」のカミングアウトを受け入れて結婚
交際をスタートさせてからは拓郎さんのストレートな物言いに傷つき、喧嘩をしたことも何度かありましたが「俺、実は発達障害で相手の気持ちがよく分からない」とのカミングアウトを聞いてからは、特性なのだと受け入れるようになったそう。
「生まれ持ったものは彼のせいではないので、責めたくありませんでした。私が理解すればいいんだと思って、いろんな本を読み、上手く付き合うコツを勉強しました」
そうした努力のおかげもあってか、2人はめでたく結婚。結婚生活は比較的、上手くいっているように思えました。
しかし、子どもが生まれると夫婦仲に変化が。型にはまったルールが通用しない子育ては拓郎さんにとって理解できないことの連続だったようで、綾子さんにばかり負担がのしかかるようになったのです。
「例えば、子どもが泣いていても『この時間には○○をする』というルーティーンがなかなか崩せなくて。柔軟に対応してほしいけれど、空気が読めない夫にはそれが難しいことも分かるから、どうすればいいのだろうと悩むようになりました」
次第に夫婦仲は冷めていき、拓郎さんは育児から遠ざかるように。息子と関わるのは、何か悪いことをして叱るときだけでした。
「だから、息子はパパ嫌いの子になってしまいました。私が仕事に行かなければならなくて、家で夫と2人になる時には『ママ行かないで』と泣かれて心が痛かったです」