■ミステリーとしてもヒューマンとしても嫌だ
東野絢香の顔のどこをどう直すと山本美月になるのか。整形手術によって実在の人物に成り代わる、しかもその人物が一般人ではなく80万人のフォロワーを抱える有名人なのに、全然バレない──なんてトリックはミステリーとして1次落ちレベルですし、美江さんが婚約までしてくれた男を捨てて友達のキラキラSNS仕事に没頭していったことや、そのキラキラRILIKAが美江さんに「自分が死ぬからおまえがRILIKAとして生きろ」と迫ったこと、RILIKAの彼氏もその計画に乗って美江さんが自分の人生を放棄することに協力したこと、その他もろもろをすべて美談として語っているのも気味が悪い。
そして何より気味が悪いのが、サクラとマコトが活き活き仕事をしていることなんです。遺体の調査をすることで自己実現を達成しようとしているように見える。人の死、知らない人の死体を、自分のやりたい仕事をするための道具として扱っているように見えるんです。今回、元婚約者の男に死体を見せるくだりは本当にヤバかったと思う。
前回も書いたけど、これまで真相にたどり着いているのはあくまで結果論であって、必ずその結論に至るのはご都合主義でしかありません。サクラとマコトは、真実や真相を求める自分たちこそが正義であると妄信し、神妙な顔で死人の人物像を勝手に作り上げ、その妄想に基づく“裏トリゲーム”をして勝ち誇っているように見える。
そう見えるのは作り手が、やっぱり人の尊厳というものを疎かにしているのか、単にシナリオがヘタクソなのか、どっちかです。どう考えても、そのどっちかなんだよなぁ。来年には大河を書こうって大脚本家先生に言うことじゃないけど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)