◆関東大震災の被災者への住宅共有が目的の不燃化アパートメント

建物
江東区にあった「清砂通アパート」、1号館外観。中央の屋上には王冠のような塔屋があった。東京大空襲では炎に包まれたが鉄筋コンクリートの躯体は残り、2002年まで住宅として使用された
 同潤会は、関東大震災後の被災者の住宅供給を目的に設立された内務省管轄の財団法人で、国内外から寄せられた義援金1,000万円を拠出して、震災の翌年に設立された。

 木造家屋の分譲住宅を20カ所建設したほか、鉄筋コンクリートによる不燃化のアパートメントを東京に13地区、横浜に2地区建設。アパートだけで4,461戸を供給した。これがよく知られる「同潤会アパートメント」だ。

 このアパート群の設計の中心となったのが、同潤会の理事のひとりで東京帝国大学建築学科の教授だった内田祥三(よしかず)だ。彼は研究室の教え子たちの力を借りて、同潤会最初のアパートである中之郷アパート(大正14年完成)を皮切りに次々とアパートを建設した。