映画タイタニックの実話度
映画『タイタニック』はどこまで真実が描かれているのかという部分ですが、ジャックとローズの恋愛模様や周囲の人々以外は実話です。氷山に激突してタイタニック号が沈没してしまう事故の流れは、実話となっています。
たくさんの方が冷たい海で凍死してしまったという部分も残念ながら真実です。映画『タイタニック』は、ジェームズ・キャメロン氏が監督を務めています。
1984年の『ターミネーター』や1986年『エイリアン2』など様々な人気作品を世に生み出し、映画『タイタニック』も大ヒットを記録しました。ジェームズ・キャメロン監督は映画『タイタニック』で、リアリティに徹底的にこだわります。
冒頭のタイタニック号の映像は実際の海底での映像を使用したり、タイタニック号船内の映像は内装や調度品、食器に至るまでこだわって再現しました。また、何人かの実在した人物も登場します。
映画タイタニックで描かれている実話
ここまでで映画『タイタニック』は、可能な限り実際のタイタニック号が沈没した事故を描いた映画だとご理解いただけたと思います。
しかし作中に現実の出来事とはにわかに信じがたい描写もありました。そこでここでは、映画タイタニック号で描かれた実話をより詳しく解説します。ジャックとローズは架空の人物ですが、映画『タイタニック』では多くの実在する人物が登場しました。
タイタニックの実話①沈没するまで演奏した音楽隊
映画『タイタニック』のなかでも印象的な存在だったヴァイオリニストは、実際のタイタニック号で音楽隊のバンドマスターを務めたウォレス・ハートリーです。ハートリーは、映画『タイタニック』のなかで描かれた数少ない実在した人物となっています。
ハートリーはイギリス人のヴァイオリニストです。彼は33歳で婚約者にプロポーズをしたばかりでした。ハートリーがタイタニック号での演奏に使用したヴァイオリンは、1910年に結婚予定だったマリアから贈られた品です。
ハートリーと彼の音楽隊は、タイタニック号の乗客たちが落ち着いて救命ボートへ移動できるように音楽を演奏していました。実際に沈没する最後まで演奏していたようです。
なぜならその後ハートリーの遺体が引き上げられた際、身体はヴァイオリンとくっついた状態でした。この時ハートリーが最期まで持っていたヴァイオリンは、その後婚約者の元へ届けられます。
タイタニックの実話②不沈のマーガレット・ブラウン
映画『タイタニック』では、生存者の捜索のために声を上げたマーガレット・ブラウンも実在した人物です。作中ではこのように声を上げたものの船頭に脅されてしました。
実際のタイタニック号が沈没する現場でも、人々のことを考えて行動をしており、現場で指揮を執っています。頭では考えられたとしても、実際の危険な現場となれば勇気ある行動はなかなかできません。
マーガレット・ブラウンの勇気ある行動は後に称賛されます。「不沈のマーガレット・ブラウン」という名前を与えられました。
タイタニックの実話③抱き合いながら最期を迎える老夫婦
ジャックとローズは架空の存在です。しかし、タイタニック号で抱きしめあって最後を迎えた老夫婦は実在します。彼らの名前はイジドーとアイダです。
こちらの老夫婦はファーストクラスの乗客だったため、救命ボートには優先して乗れるはずでした。それでもイジドーは女性と子供が全員脱出するまでは、避難しないと救命ボートへ向かうことを拒否します。
妻のアイダは、当初夫の避難を拒否したことを知らず既に救命ボートに乗っていました。乗員から夫のことを聞いたため、救命ボートを降ります。自分の着ていたコートを側にいたメイドに渡して、救助がくるまで着るようにと伝えました。
ベッドに横たわっていたのは、映画の脚色ですが、生存した目撃者の情報によると実際に最期まで抱きあっていたとのことです。二人は結婚40周年を迎えた1911年からヨーロッパに滞在していましたが、アメリカに帰るためにタイタニック号に乗船しました。
タイタニックの実話④エドワード・スミス船長
映画『タイタニック』でタイタニック号の船長として描かれたエドワード・スミス船長は実在します。エドワード・スミス船長は現在も遺体が発見されていない人物です。
映画『タイタニック』では浸水する操舵室で最期まで過ごしたと描かれていますが、実際にどのような最期を迎えたのかはわかりません。生存者の目撃情報も相違があり、船長は海に居たという意見もあれば、救命ボートに乗っていたという意見もあります。
エドワード・スミス船長は、多くの処女航海を任されたベテラン船長でした。タイタニック号の航海が終われば隠居するつもりだと周囲に言っていたようです。
タイタニックの実話⑤沈没寸前まで祈りを捧げた司祭
映画『タイタニック』でタイタニック号が沈没寸前まで祈りを捧げた司祭も実在する人物です。彼の名前はトーマス・バイルズといいます。
タイタニック号で避難指示が発令された際、乗客の人々はパニック状態になっていました。トーマスはパニック状態に陥った乗客たちを精神的に支える役目を担います。トーマス自身は二等船室の乗客だったため、救命ボートに乗ろうと思えば乗れた状況でした。
タイタニック号では救命ボートが不足していたため、救命ボートに乗れなかった人発生します。船から逃げられなかった人々は、トーマスを囲んで祈りを捧げたようです。トーマスは縋る者を失った人々の希望となりました。
タイタニックの実話⑥三等客室の乗客
映画『タイタニック』では、三等客室の乗客には逃げる機会すら与えられていません。残念ながらこちらも実話です。タイタニック号の一等客室の値段は、約77,000ポンドでした。一方で三等客室の値段は約300ポンドから600ポンドのため、その値段の差は歴然です。
タイタニック号を運営していたホワイト・スター・ライン社は、乗客の等級を分けてエリアごとに滞在させていました。さらに避難の際には女性や子供、そして一等客室の乗客から優先して行われてます。
さらにタイタニック号の救命ボートは足りていませんでした。そのためタイタニック号が沈没した犠牲者の多くは、三等客室の乗客です。船内に水が流れ込んでくるまで、三等客室の乗客は事態の把握ができませんでした。
タイタニックの実話⑦パン焼き係チャールズ・ジョーキン
タイタニック号が沈没する際に機転を利かせて、生還した人物がいました。その人物はタイタニック号のパン焼き係であるチャールズ・ジョーキンです。彼は救命ボートへの乗船を拒否しました。三等船室を行き来して、女性や子供たちを救命ボートに乗せます。
自身の逃げるチャンスを失ったチャールズは、一度は死を覚悟しました。死の苦しみを和らげるために、酒の貯蔵庫にあったウイスキーを大量に飲みます。ここで飲んだウイスキーで彼は命を救われました。
その後いよいよタイタニック号が沈没する際にチャールズは冷たい海に飛び込みましたが、アルコールで体温が上がっていたため低体温症で苦しむことなく救助されます。海に飛び込んだ人物のなかで誰よりも長く生き延びたチャールズは、この事故の貴重な証言者となりました。
タイタニックの実話⑧タイタニックの設計者
映画『タイタニック』で描かれたタイタニック号の設計者であるトーマス・アンドリュースも実在する人物です。トーマスは設計者だけあり、タイタニック号に乗っていた人物のなかでは、誰よりも早く沈没の危険に気付きました。
映画の作中でも人々の救助に励む様子が描かれていますが、こちらも事実です。当時の新聞でタイタニック号の沈没は大きく取り上げられました。
映画『タイタニック』と同じく実在するトーマスもタイタニック号の沈没とともに亡くなってしまいます。しかし、自分の命よりも乗客の命を優先して救助活動に励んだトーマスについて当時の新聞で賞賛されています。