実際、今季の平均試合時間(9回試合のみ)は昨年より7分縮まり、3時間0分となっている。これを大きな進歩と見ることもできるが、この傾向は野手にとっては死活問題だ。
「選手の年俸は、チーム成績、個人成績、チームへの貢献度などで決まりますが、やはり大きいのは“数字”。“3割”“30本”“100打点”など、目安となる数字をクリアすれば、大幅アップが見込めますが、明らかにそのハードルが高くなっている状況でも、それは契約更改に反映されません。特にメジャー移籍を狙う打者は、数字が落ちるのは痛いでしょう。村上や岡本和真(巨人)はメジャー移籍候補ですが、ただでさえ日本の長距離砲は評価されにくいのに、日本で30本前後しか打てなければ、メジャーの評価はさらに辛くなる。逆に投手は、防御率の低さを交渉材料にして年俸を大幅に上げる大チャンスですし、メジャー挑戦の旨味も大きいでしょうね」(フリーのスポーツライター)
大谷翔平はメジャーでホームラン王を取り、吉田正尚や鈴木誠也もメジャーと巨額契約を結んだが、村上や岡本はビッグマネーを取り逃してしまう可能性も出てきた。こうなるとデメリットばかりが目に付くが、この傾向は続くのか?
「ロースコアの試合が続くようなら、盗塁やバント、守備がとても大事になってくる。しかし、選手はもちろん、観る側にとっても野球の華はホームラン。安売りするのはご法度ですが、試合がつまらなくてファンが減るようでは身も蓋もありません。それでなくても日本の野球は競技人口がどんどん減っており、存亡の危機といっても過言ではない。10年ほど前の統一球導入の際も、数年後には適正な数字に戻りましたから、自然と落ち着くところに落ち着くでしょう」(同上)
メジャーの広い球場でホームランを打ちまくる大谷は、この状況をどう見るか。