◆自暴自棄にならずに、自分の罪も痛みも認めて

中川:この漫画では、「加害者を許さなくても、幸せになっていい」というメッセージを伝えたかったのです。

加害者を許さなくても、生きやすくなれる。ケアを始めることはできる。聖人君子にならなくていい。許せない人がいていい。全員と楽しく仲良く生きるなんてことしなくていい。自他共に持続可能な範囲でケアしあえる関係があればいい。それ以上のことを無理に頑張って目指さなくていい。誰にも許しを強要される必要はない。傷つきはなくなったりしない。だからこそ、自分もまた、誰かが自分を許してくれるとは限らないことを認める必要があります。

憎まれ続けるかもしれない、嫌われ続けるかもしれない。それもまた、避けることのできない現実です。それでもなお、自暴自棄にならずに、自分の罪を認め、自分の痛みを認め、そして自他へのケアを始めていくことができれば、それ以上のことはない。それこそが幸せになるということの意味だと考えています。

【龍たまこ】

3人の子どもを育てるマンガ家。1981年生まれのシングルマザーで、保育士の資格を持つ。ライブドア公式ブログ「新・規格外でもいいじゃない!!-シングルマザーたまことゆかいな子ども達-」をほぼ毎日更新中。著書に『規格外な夫婦~強迫症夫と元うつ病妻の非日常な日常~』(宝島社)、『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』(KADOKAWA)。X(旧Twitter):@ryutamako、Instagram:@ryu.tamako2

【中川瑛】

モラハラ・DV加害者変容に取リ組む当事者団体「GADHA」代表。妻との関係の危機から自身の加害性に気づき、ケアを学び変わることで、幸せな関係を築き直した経験から団体を立ち上げる。現在は加害者個人だけではなく、加害的な社会の変容にも取り組んでいる。著書に『孤独になることば、人と生きることば』(扶桑社)、『ハラスメントがおきない職場のつくり方 ケアリング・ワークプレイス入門』(大和書房)。X(旧Twitter):@EiNaka_GADHA

<構成/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。X:@joshispa、Instagram:@joshispa