■男たちも、恋愛対象というよりは

 指輪がぴったり合う男を探し出すという一見ロマンチックな設定で目くらましをしていますが、過去に関係性があった男たちも、あくまでまことの「自己の再発見」を補足する人物として登場します。

 同期の営業マン・朝日(神尾楓珠)はイイヤツですが、かわいい服を着て出社し、自分の考えをはっきり口にするまことに対して「らしくない」と言い放ちます。「過去のまことがかわいそうだ」と。

 元カレの花屋さん・公太郎(瀬戸康史)は、勢いで会社を辞めちゃったまことに「らしいじゃん」と言ってくれました。それは記憶を失ったまことにとって、何より救われる言葉でした。

 会社の同僚の男と元カレとでは、当然、見せてきた顔も違うはずです。大人として生きていくということは、仕事での顔、プライベートでの密な人間関係を構築していくための顔、それぞれの顔を獲得していくことにほかなりません。

 それをイチから考えてやり直せるって、やっぱりチャンスだし、ちょっと羨ましい状況だよなぁと思えたので、とりあえずコメディとしては好スタートかと思われます。

 あと、みなさんおっしゃる通り、めるる芝居すごいうまいと思いました。顔芝居、期待です。

(文=どらまっ子AKIちゃん)