■同時並行で展開を作っていく手練手管

 まこちゃんが成り行きで行くことになったITイケメン・律(宮世瑠弥)とのデートで、自分なりの美しさ、楽しさを再発見していく傍ら、ドラマはラブコメ然としたキュンを散りばめていきます。夜の東京タワーの前で律にシングルアームハグされたり、花屋イケメンの元カレに花のケーキを贈られたり、ケーキに息を吹きかけたら偶然、東京タワーの消灯のタイミングだったり(アレは午前0時に消えるのだ)、自称友だちの元同僚イケメン(神尾楓珠)はまこちゃんへの好きの気持ちが抑えられなくなってしまったり。

 東京タワーの下で、そんな3人のイケメンがまこちゃんの前でばったり会ってしまったり。

 ラブなコメディの要素をこれでもかと詰め込みながら、さらに律とまこちゃんの過去や、まこちゃんの家族の謎というミステリー部分の情報も小出しにしていく。

 マジなテーマとラブコメとミステリーを同時並行で作っていく。昨日、月曜に放送されている『366日』について「伝えたいことがないから同じシーンばっかり繰り返し使うんだ。それがあったら1分1秒だって無駄にしたくないはずなんだ」みたいなことをここのレビューで書きましたが、こういうことなんだと思いました。『くる恋』は1分1秒、まるで無駄にしてない。そういうドラマを見続けていきたいと思うし、ここまで書いてきたことがどうでもよくなるくらい、『くる恋』はおもしろい作品だと感じます。

(文=どらまっ子AKIちゃん)