■もとより設定が恵まれてない
以前にも書きましたが、この『Re:リベンジ』というドラマは大友先生(錦戸亮)の物語でした。幼少期に母親を医療過誤で亡くし、その復讐のために大病院に潜り込む。必死で勉強して医師免許も取ったし、心臓血管外科医として実績を積んできた。実力で、この位置まで来た人物です。
一方で赤楚くん演じる海斗は大病院の家に生まれたのに、ろくに勉強しないで医学部を中退。二十歳を超えても反抗期が終わらず、父親に変な誤解を抱いたまま週刊誌に就職。その父親の葬式で頭をパカーンと殴られたのち、会長であるお爺ちゃん・皇一郎(笹野高史)のコネで病院の理事になるという、絵に描いたようなボンボン人生です。
しかも、大友先生が天堂に来た目的をミステリーとして後半まで残していたことで、ボンボン理事長・海斗を“有能な人”として描けなくなってしまった。海斗が有能だと、途中で大友先生を追い詰めて謎を明かしてしまうので、必然的にどんどんバカになっていかなければならなかった。海斗がバカになっていけばいくほど、相対的に大友先生がミステリアスで魅力的な人物に映っていく。
もとより、今回の赤楚くんの役柄は設定に恵まれていなかったわけです。ブチ切れたり、絶望したり慟哭したり、悩んだり恋したり、そういう赤楚くんをたくさん見られるという、ファンにとっては眼福なアイドルドラマとして歓迎される作品だったと思う一方で、その赤楚くんの慟哭やブチ切れに、設定として共感できない。赤楚くんがいくら怒っても泣いても「おまえが招いたことやろ」「そもそもおまえが理事長の器ちゃうんじゃ」という気持ちになってしまう。脇を大御所で固めて、対抗馬に錦戸亮を用意して、作り手側としてはけっこう万全な体制だったのかもしれませんが、シナリオのほうで足を引っ張っちゃってた感じですね。逆に言えば、赤楚くんという俳優にドラマの軸である“復讐”を背負わせるほどの信頼感がなかったということでもある。
でも、がんばってたと思う。赤楚くん。